高齢の親に電子書籍を勧めてみた話|きっかけと変化を紹介

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実家に帰るたびに、母の本棚に同じ文庫本が2冊並んでいることに気づくようになりました。最初は気にしていなかったのですが、あるとき「これ、この間も買ってなかった?」と聞いてみると、「読んだかどうか忘れてしまって、また買っちゃった」と笑って答えられ、少し驚いたのを覚えています。それをきっかけに、母に電子書籍を勧めてみることにしました。この記事では、高齢の親に電子書籍を使ってもらうまでの過程と、実際に使い始めてからの変化を紹介します。

きっかけ:同じ本を何度も買っている母を見て

母は昔から読書が好きで、月に何冊も本を読む人でした。ただ、年齢を重ねるにつれて「読んだ本のタイトルを忘れてしまう」ことが増え、書店で見覚えのある本を見つけても、読んだかどうか自信が持てずに同じ本を買ってしまうことが度々あったようです。電子書籍であれば、購入履歴が自動で残るため、こうした「うっかり買い直し」を防げるのではないかと考えたのが、勧めてみようと思ったきっかけでした。

最初は乗り気ではなかった親の反応

いざ電子書籍の話をしてみると、母の反応は予想以上に消極的でした。「スマホの画面で本を読むなんて、目が疲れそう」「操作が難しそうで自分には無理」といった不安の声が中心で、無理に勧めても逆効果になりそうだと感じたため、その場ではいったん話を切り上げることにしました。年齢を重ねてから新しい機器を使うことへの不安は、こちらが思う以上に大きいのだと、この反応から実感しました。こちらとしては「便利だから使ってほしい」という善意のつもりでしたが、母にとっては「今の読み方を否定された」ように感じられていたのかもしれません。振り返ってみると、最初の提案の仕方が、母の悩みに寄り添うというより、便利さを一方的に説明するだけになっていたことが、消極的な反応を招いた一因だったように思います。

少しずつ使えるようになるまでの過程

端末選びで工夫したこと

数か月後、あらためて勧める際は、多機能なタブレットではなく、電子書籍を読むことに特化したシンプルな端末を選びました。他の機能がない分、迷う操作の選択肢自体が少なく、「本を読む」という目的だけに集中できる点が、機械の操作に不慣れな母には合っていたようです。

文字サイズ・使い方を一緒に設定した

実家に帰った際に、実際に使う本の文字サイズを母の目に合わせて一緒に調整しました。自分で設定を変える操作を覚えてもらうのではなく、まずはこちらが「ちょうど読みやすい設定」に整えてから渡すようにしたことで、最初のハードルをかなり下げられたと感じています。

最初は無料の本だけで試してもらった

いきなり有料の本を勧めるのではなく、まずは無料で読める作品を数冊ダウンロードしておき、「操作を覚えるまでは、これで練習してみて」と伝えました。お金をかけずに試せる環境を用意したことで、母も気軽に触ってみようという気持ちになれたようです。

実際に使い始めてからの変化

使い始めて1か月ほど経った頃、母から「文字を大きくできるから、老眼鏡なしでも読めて助かる」という感想をもらいました。これは正直、こちらが想定していなかったメリットでした。同じ本を買い直してしまう問題も、購入履歴を確認する習慣がついたことで、以前ほど頻繁には起こらなくなったようです。何より、「読みたい本をすぐ買えて、すぐ読める」という手軽さが、読書量そのものを増やすきっかけになったと母自身が話していたのが印象的でした。以前は月に2〜3冊程度だった読書量が、今では月に5冊近くまで増えたと本人も驚いていました。書店に行く体力的な負担が減ったことも大きいようで、「足腰が心配な日でも、家にいながら新しい本が読める」という点は、こちらが提案した当初は想像していなかった喜ばれ方でした。

それでも紙の本を手放さなかった理由

とはいえ、母は今でも紙の本を完全にはやめていません。図書館で借りる習慣や、近所の書店で店員さんとの会話を楽しみにしている様子もあり、電子書籍はあくまで「自宅でゆっくり読むための選択肢の一つ」として使っているようです。すべてを電子書籍に置き換えることを目指すのではなく、これまでの読書の楽しみ方に、新しい選択肢を一つ加える、というくらいの気持ちで勧めたことが、結果的に無理のない形で定着した理由だと感じています。

高齢の親に勧める際に気をつけたいこと

今回の経験を通じて感じたのは、「便利だから」という理由だけで一方的に勧めても、なかなか受け入れてもらえないということです。まずは本人が困っていること(今回で言えば「同じ本を買い直してしまう」という悩み)に寄り添い、その解決策として提案する形の方が、抵抗感なく受け入れてもらいやすいと感じました。また、最初のセットアップや文字サイズの調整など、慣れるまでの手間を家族が一緒に担うことも、継続して使ってもらえるかどうかを左右する重要なポイントだと思います。一度渡して終わりにするのではなく、帰省のたびに「ちゃんと使えてる?」と様子を確認し、困っている部分があればその都度手を貸す、という継続的なフォローも欠かせません。特に最初の1〜2か月は、些細な操作のつまずきがきっかけで「やっぱり難しい」と使わなくなってしまうことがあるため、この時期のサポートを手厚くすることが、長く使い続けてもらえるかどうかの分かれ目になると感じています。

父にはうまくいかなかった話

実は、同じタイミングで父にも電子書籍を勧めてみたのですが、こちらはあまりうまくいきませんでした。父はもともと新聞や雑誌を紙で読むことにこだわりがあり、「画面で読むと内容が頭に入ってこない気がする」と最初から否定的でした。母のときと同じように無料の本で試してもらおうとしましたが、数回触っただけで結局それ以上は使わないままになっています。この経験から、電子書籍が合うかどうかは年齢だけで決まるものではなく、その人がもともと持っている読書へのこだわりや、新しい機器に対する抵抗感の強さによって大きく左右されるのだと感じました。無理に勧め続けるのではなく、興味を示さない場合はいったん引く判断も必要だと思います。

離れて暮らす家族だからこそ感じたメリット

実家が遠方にあるため、頻繁に本を送ったり持って行ったりするのは簡単ではありません。母が電子書籍を使うようになってからは、電話で「今度○○の新刊が出るみたいだよ」と話すと、その場でこちらが端末に本を贈ることができ、次に会うのを待たずに読んでもらえるようになりました。帰省のたびに紙の本を何冊も持っていっていた頃と比べると、遠く離れていても気軽に本を届けられるようになったことは、想像していなかった副次的なメリットでした。

よくある質問

高齢の親には、どんな端末を選ぶのがおすすめですか?

多機能なタブレットよりも、電子書籍を読むことに特化したシンプルな端末の方が、操作に迷いにくく取り組みやすい傾向があります。文字を大きく表示できる機能があるかどうかも、選ぶ際の重要なポイントです。

親が操作方法をすぐ忘れてしまいます。どう対応すればよいですか?

操作の手順を紙に書いて、端末のそばに置いておくという方法が効果的でした。口頭で説明するだけでは忘れてしまいがちなので、いつでも見返せる形で残しておくと、家族がその都度説明する負担も減らせます。

まとめ

高齢の親に電子書籍を勧める際は、便利さを一方的に説明するのではなく、本人が実際に困っていることに寄り添いながら、無理のないペースで慣れてもらうことが大切です。端末選びや初期設定を家族がサポートすることで、抵抗感なく取り入れてもらいやすくなります。同じような悩みを抱えている家族がいれば、まずは小さな一歩から、電子書籍という選択肢を提案してみてはいかがでしょうか。ただし、今回の父のケースのように、必ずしもすべての人にうまくいくとは限りません。本人の様子を見ながら、合わなければ無理強いしないという柔軟な姿勢も、家族として大切にしたいポイントです。